施川ユウキ『バーナード嬢曰く。』2013-06-02 23:34

 朝日新聞の南信長のレビューを読んで読みたくなり、アマゾンに注文したら品切れ。待つこと数週間、ようやく2日前に届いたので早速読む。いや、これは期待に違わず面白かった。

 図書館で本を読むふりをして自分を読書家であるかのように見せかける女子高生町田さわ子(自称バーナード嬢)と、彼女を見つめる本当の読書家男子高生、さらにそれを見つめる図書委員の女子高生とが繰り広げる本に関するささやかなドラマ。のはずだったのだが、そこにSFファンの女子高生神林しおりが登場。彼女が開陳するマニアックな知識とこだわりが爆発する個所は、これはもう一般読者をはるかに超えて、SFマニアのための爆笑エッセイと化している。お薦めのSFを一冊と言われたり、SFの定義を聞かれたりしたときに、彼女がえんえんと悩むところや、タイトルにこだわったり、ジュヴナイルSFのちょっとしたところにこだわったりするところなど、見事にSFファンのツボを押さえており、そうそう、こんなことあるよなあと思わずにはいられない。ネットでも話題になっていたが、イーガンはよくわからなくてもいいんだというあたりは、特に理屈に力が入っており読み応え十分。

 SF以外でも面白いところがたくさんあるし、基本的に本に対する愛があふれているので、紙媒体としての本が好きな人にはとにかくお薦めである。

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_ 天竺堂の本棚 - 2015-09-29 16:17

“読書ギャグ”とも言うべき新分野を開拓したマンガ。
周りから“読書通”と見られたいけれど、労力は最小限で済ませたいという、お調子者の女子高校生が主人公。
「『へぇこれ文 ...