施川ユウキ『バーナード嬢曰く。』2013-06-02 23:34

 朝日新聞の南信長のレビューを読んで読みたくなり、アマゾンに注文したら品切れ。待つこと数週間、ようやく2日前に届いたので早速読む。いや、これは期待に違わず面白かった。

 図書館で本を読むふりをして自分を読書家であるかのように見せかける女子高生町田さわ子(自称バーナード嬢)と、彼女を見つめる本当の読書家男子高生、さらにそれを見つめる図書委員の女子高生とが繰り広げる本に関するささやかなドラマ。のはずだったのだが、そこにSFファンの女子高生神林しおりが登場。彼女が開陳するマニアックな知識とこだわりが爆発する個所は、これはもう一般読者をはるかに超えて、SFマニアのための爆笑エッセイと化している。お薦めのSFを一冊と言われたり、SFの定義を聞かれたりしたときに、彼女がえんえんと悩むところや、タイトルにこだわったり、ジュヴナイルSFのちょっとしたところにこだわったりするところなど、見事にSFファンのツボを押さえており、そうそう、こんなことあるよなあと思わずにはいられない。ネットでも話題になっていたが、イーガンはよくわからなくてもいいんだというあたりは、特に理屈に力が入っており読み応え十分。

 SF以外でも面白いところがたくさんあるし、基本的に本に対する愛があふれているので、紙媒体としての本が好きな人にはとにかくお薦めである。

今年のSF関係イベントいろいろ2013-06-08 21:08

 補習が終わり次第、大急ぎで名古屋大学に行く。学校祭が開かれており、そこでいろいろな打ち合わせがあるのだ。SF研究会の部室へものすごく久しぶりに行き、たまたま来ていたOB・現役と話してから、片桐くんに連れられて、SF研会員が薦める本を展示している会場へ。

 まずはSF研30周年に合わせて企画している「殊能将之本」について。現役によるレビューと、会誌に載った殊能将之の初期評論の再録、著作リストなどで製作することを確認。OBの追悼文なども受け付けるが、締め切りは7月15日厳守。打ち合わせのときは、初期評論も殊能名義でいいだろうと思ったのだが、よくよく考えるとやはりそれではまずいのだろうか。誰か著作権に詳しい人、教えてください。

 次にダイナコン実行委員会の市野さんと10月のちいなこんの打ち合わせ。名古屋大SF研30周年を祝ってくださるということで、ありがたくお受けする。藤澤くんも来るということで、まあ、何か昔話をすれば1時間半は持つでしょう。

 そして、まだあまり広報されていないのだが、国際SFシンポジウムⅡについて。パオロ・バチガルピとパット・マーフィー、中国の作家1名が来ることは決定している。問題は日程で、7月25日には名古屋でシンポジウムを行うことが既に決まっているのだ。何と何と、あと1カ月と少しである。ちょっと本腰入れて宣伝しなければ。

国際SFシンポジウムⅡ 名古屋会場 7月25日(木)
 会場:椙山女学園大学 時間:13:00~ 参加無料

 お暇な方はぜひおいでください。椙山女学園大学の長澤教授と組んでスタッフをしているので、何とか成功させたいと思っている。名大SFの現役学生はどうかと思ったら、前期のテスト中とのこと。うーん。でも片桐くんは来られるとのことでホッとした。また詳しいことが決まり次第、情報を流していくのでよろしく。

 最後は場所をSF研顧問山田くんの研究室に変えて、30周年記念パーティーの打ち合わせ。学生にとっては会費が高いとのことで、社会人8000円、学生4000円の案を提示。企画は特に設けず、歴代会長、およびゲストの挨拶のみ。これから正式な案内を往復ハガキで出していきますので、参加希望者は連絡してください。

 以上、打ち合わせを終了して帰途に就く。7月、8月、10月とこりゃ忙しくなるなあ。

プーシキン美術館展2013-06-09 21:24

 前からの約束で妻とプーシキン美術館展を見に行く。今月26日までなので、直前は混むだろうから、これぐらいならいいだろうとの判断。チケットもそれほど並ばず購入できたので、この判断は正解だったようだ。

 点数は思っていたよりも少なく、結構短い時間で見て回れた。古典主義からロココ、新古典主義、印象派を経て近代まで、フランス絵画300年の歴史を四章に分けて非常に要領よく、コンパクトにまとめており、好印象を受けた。自分はとにかくモネが好きなので、「陽だまりのライラック」が見られただけで十分満足。他によかったのは、ロワールの「夜明けのパリ」、ミレー、ピカソなど。昔から、同じ印象派でもルノワールはダメで、同様に苦手なのがマネ、ゴッホ、ゴーギャン、マティス(おいおい、じゃあこの美術展に行くなよ)。ピカソは青の時代は好きなのだが、キュビズムからは今一つ。アンリ・ルソーは原田マハ『楽園のカンバス』を読んで少し見方が変わったけれど、好きになるまでには至っていない。本物を見れば、少しは良さがわかるかもと思って、いろいろ見るようにはしているのだが、やはりこの年になって絵の好みがそうそう変わるものではない。

 何と言うのか、さらりと一瞬の光の輝きや物の動きをとらえたような絵が好きなのだ。ルノワールは何か質感が過剰な気がするし、ゴッホやマティスは色彩が過剰。マネはリアル過ぎるし、ゴーギャンはのっぺりし過ぎ。アンリ・ルソーは素人っぽさがちょっと(今回の展示作ではモデルの手を採寸したとあるが、採寸しておいてあのバランスの悪さはどうかと思う)。やはり一番しっくり来るのはモネだね。うん、モネしかない、と再確認できたプーシキン美術館展であった。

第2回国際SFシンポジウム名古屋大会2013-06-30 22:34

 ここのところ忙しくて更新さぼってすみません。

 さて、いよいよ来月末と日程が迫ってきた国際SFシンポジウムですが、遅れていた広報もようやくスタート。
 詳細はこちら。
http://sfwj50.jp/news/2013/06/isfs2-manifesto.html

 一応自分も実行委員会の一員に入っています。

 ゲスト詳細はこちら。
http://sfwj50.jp/projects/isfs2/


 昨日も椙山女学園大学長澤さんと、名古屋大学SF研の片桐くんと千種のコメダで打ち合わせをする。

 名古屋大会のテーマは「21世紀SFの夢 ――ジェンダーとアジア」に決定。
 パネルは二部構成で、一部を「SFとジェンダー、少女vs.女」と題して、バチガルピ、マーフィーに参加してもらい(コメンテイター片桐くん、司会は長澤さん)、二部を「アジアSF:その可能性」と題して、呉、タヤンディエー、立原透耶、ほか(司会は渡辺)に参加してもらう予定。

 遅れている広報は、とりあえずチラシ用のイラストを名大SF研の知り合いの人に依頼するが、無理な場合は文字だけのものをこちらで作成する。あとはネットが頼りかな。これを見ている人で、7月25日(木)の昼が空いている人はぜひ参加してください。または宣伝してください。
 よろしくお願いします。