ジョン・ケイルをまとめて聴く2012-08-20 23:10

 なぜか突然ジョン・ケイルをまとめて聴いている。これは『ウォッチメン』を読んで各章の最後に引用されている言葉がとにかくかっこよくて、12章(最後の章)のジョン・ケイルの言葉「より強き世界となる/より強き愛の世界となる/われらはその中にて死す」は一体どの歌からなんだろう? と思って、弟にCDを何枚か借りてそのままになっていたものを、少し暇ができたのでまとめて聴き直そうと思ったからである。聖書、ニーチェ、ユング、ブレイク「虎よ、虎よ!」に交じって、『ウォッチメン』の章末で引用されたミュージシャンは、ケイルも含めて三人だけ。残り二人はボブ・ディランとコステロなのだから、アラン・ムーアのジョン・ケイルに対する評価の高さがわかろうというものだ。

 私は、むろんヴェルヴェット・アンダーグラウンドもルー・リードも好きなのだが、ジョン・ケイルは格別だ。実はルー・リードよりも好きかもしれない。特に、ヴェルヴェトを最初の2枚でやめソロになってからの1枚目「Vintage Violence」(1970年)は最高である。けだるい歌い方と親しみやすいメロディ。ラフでありながら、実はきっちりと計算され構築されている曲の、時には崇高なまでの美しさ。このチープさと壮大さが入り混じった感じが実にすばらしい。SFで言えば、ディックかワイドスクリーンバロックのようなものだ。これに匹敵するのは、スラップ・ハッピーの「アクナルバサック・ムーン」しかないね。世間では3枚目の「Paris 1919」(1973年)の方が評価が高いようだが、自分は迷わずこの1枚目を推す。これと4枚目「Fear」(1974年)、6枚目「Heren of Troy」(1975年)まで聴いて、今日は終わり。

 結論から言うと、『ウォッチメン』に引用された「Santies」は、このどれにも入ってなくて、1982年の「Music for a New Society」に入っている曲なのであった。おそらく『ウォッチメン』効果なのだろう。このアルバム、アマゾンでもとんでもない値段がついている。一万円を超えているので、ちょっと手が出ない。弟が持ってるといいなあ。

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