2012年の海外SF(その1)2012-12-30 22:18

 早いものでもう2012年も終わりである。今年の海外SFを少しだけ振り返ってみると、国書刊行会「未来の文学」と河出「奇想コレクション」の新刊がなかったのがさびしいが、代わりに「新☆ハヤカワSFシリーズ」がスタートしたのが大きな収穫であった。現在まで7点が順調に刊行されている。読んだ分だけ五点満点(★五つ)で評価してみると……

5001『リヴァイアサン』スコット・ウエスターフィールド★★★
 レビュー:http://sciencefiction.asablo.jp/blog/2011/12/

5002『第六ポンプ』パオロ・バチガルピ★★★★
 「フルーテッド・ガールズ」がとにかく傑作。「砂と灰の人々」のごつごつした肌触りも忘れ難い。「イエローカードマン」にはねじまき少女も登場しているので、ねじまきファン(いるのか?)は必読だ。

5003『サイバラバード・デイズ』イアン・マクドナルド★★★★★
 レビュー:http://sciencefiction.asablo.jp/blog/2012/05/

5004『ベヒモス』スコット・ウエスターフィールド★★★
 訳者あとがきにもあるけれど、クラーケンも潜水艦も登場しないのに「クラーケンと潜水艦」というサブタイトルはちょっとひどいと思う。

5005『ブラックアウト』コニー・ウィリス★★★
 つるつる読めてそれなりに楽しめるが、もちろんそれ以上の深みがあるわけではない。はらはらどきどきしながら読めて感動したい人にはお薦め。

5006『量子怪盗』ハンス・ライアニエミ★★★★
 次から次へと繰り出される造語とアイディア、イメージの奔流に圧倒された。今後が楽しみな若手作家

 という感じかな。
 ハヤカワ文庫SFと創元SF文庫については次回書きます。(つづく)

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