私的名古屋SFファンダム史04(1977-1978)2012-01-22 20:03

 なかなか話が進みませんが、まあ気長にお付き合いください。

 1977年の夏にはアメリカでスター・ウォーズ第一作が公開されており、その熱狂が「奇想天外」や「SFマガジン」を通じて伝わって来た。あちこちの雑誌でSF特集やSF映画特集が組まれ、所謂SFブームがやって来たのである。同時に名古屋では、東京から少し遅れて漫画同人誌ブームも起きていた。それを象徴するのが、おそらくは1975年に東京でスタートしていた漫画同人誌即売会コミック・マーケットを意識したであろう「コミック・カーニバル」の開催である。手元のスクラップ帳に、コミック・カーニバル開催を伝える中日新聞(東京新聞の名古屋版、というか東京新聞が中日新聞の東京版)1977年12月6日の記事があるので、下記にアップしておく(一部伏字にしました)。

http://www.asahi-net.or.jp/~YU4H-WTNB/19771206.jpg

 これを読むとわかるとおり、コミック・カーニバルを計画したのは、東海高校漫研を母体としたグループ・ドガであり、当時の代表者は後のミステリ作家森博嗣である。森博嗣は、当時すでに名古屋の漫画同人界では知られた存在であり、名古屋大学漫研とグループ・ドガの両方に在籍して、独特の繊細なタッチと詩的な作風で人気を博していたのだが、筆者はまだそれを知らなかった(後に大ファンとなり、自分が名古屋大学に入ろうと思うきっかけになるのだが、それはまた別の話になる)。多分この記事の写真の真ん中にいるのが森氏ではないかと思う。漫画ファンの一中学生としては、何か面白そうな催しが地元名古屋で開かれるということで、早速出かけることにしたのである。1月22日の日曜日、大雪が降っていたが、クラスの友人2人と弟、計4人で栄の中日ビルまでお昼過ぎに何とかたどり着く。4階に上がると、既にものすごい人、人、人。人をかきわけていくつもの同人誌を見ていく。その中に『昇天するミミズ天使』という本が置いてあり、思わず「あっ、ミミズ天使!」(フレドリック・ブラウン「ミミズ天使」のことですね)と叫んだことから、そこにいたお兄さんと1時間ほど話すことになる。本の内容はすっかり忘れてしまったが、そのお兄さんはかなりのSF・漫画ファンで、柴野拓美の家に行ったことがあるとか、萩尾望都の話とかで随分盛り上がった。この人は、名古屋工業大学SM研(SF&漫研)の兼岩さんという人で、大変世話好きな親切な方であった。これを機にしばらく文通したり、この年の名古屋工業大学の文化祭に出かけていったりすることになる。たまたま出かけた漫画同人誌即売会で、期せずしてSFファンダムの洗礼を受けてしまったわけだ。まあ、これも運命というやつですね。今、書いていた気づいたのだが、今日は1月22日。ちょうど今から34年前の今日の出来事であった。(続く)