NFB作品集(マクラレン「カノン」「心象風景」「ビーズゲーム」など)2012-01-04 20:13

 昨日の続きで、NFB作品について書く。NFBとはカナダ国立映画製作庁(National Film Board of Canada)のことで、設立は1939年。映画黄金時代にカナダの映画産業を振興する目的で出来たもののようだ。最初はドキュメンタリー部門が主流であったが、NFBのディレクターが、あのノーマン・マクレランをイギリスから呼び寄せアニメーション部門が出来てから、多くのすぐれた作品を世に送り出すことになる。

 今回上映されたのは全部で5本。1964年のノーマン・マクラレン&グラント・マンロー監督の「カノン」から2011年の「ワイルド・ライフ」までバラエティに富んだ多彩な作品を観ることができた。「カノン」は音楽に合わせてチェスボード上のサイコロがリズミカルに動いたり、シンプルな人間の動きを輪唱形式でつないでいくことによって笑いを生み出すユーモラスな作品。こういうのを見ると、どうしても幼少時に見たNHKの実験的なアニメーション(「おかあさんといっしょ」? 番組は思いだせないのだが、様々な色の線が十字に重なっていくものとか)を思い出す。ああいうのも、こうしたNFBの作品から影響を受けていたんだろうなあ。続けて、山村浩二監督が高校時代美術部顧問の先生に見せてもらい、強い衝撃を受けたという「心象風景」(1976年)を観る。いや、これはやっぱりすごい。傑作だ。鉛筆画のような白黒の絵の世界に入り込んでいく主人公を緻密なタッチで描いた素晴らしい作品。それにしても、これを当時の高校生に観せてくれた先生って一体どんな人だったのだろう? DVDとかあれば、自分も生徒にいつか観せてやりたいものだ。
 
 さらに続くのは、ビーズで絵を描き、それを動かして作ったと思われる「ビーズゲーム」(1977)。これは最初はたわいもない子供の落書きのような怪獣の絵ばかりで、まあこんなものかと思っていると、あにはからんや、途中で猿の争いになるあたりで、はっと気づかされる。これって生物の進化を辿っているのではないか。予想通り人間の争いになり、兵器が出て来て爆発へ……。たった5分の作品ではあるが、なかなか鋭い作品であった。小さなものから大きなものへと徐々にパースペクティブがあがっていく「技」(2006年)の技法にも感嘆させられたし、20世紀初頭にイギリスからカナダに渡った若者の切ない物語「ワイルド・ライフ」(2011年)も面白かった。

 久しぶりにこうしたアートアニメーション(インディペンデント・アニメーションと海外では呼ぶらしい)を観て、大変満足できた。長大な商業映画ばかりが映画ではない。主題と技法が見事に一致しさえすれば、たった5分や10分でも十分印象に残る作品になるのだ。これからもこうしたアニメを観続けていこうと誓った昨日であった。

p.s. 書いてから検索してみたら、何と「カノン」はニコニコ動画で観られるではないか。アルゴリズム体操のもととしてアップされている。なるほどね。