私的名古屋SFファンダム史09(1979)2012-08-02 01:00

 しばらく放置してあったが、夏休みで少し暇になったので、続きを書く。前回はようやくスペース・フォースの会誌の印刷が終了し、初めて日本SF大会へ参加しようとするところまでだったかな。

 さて、1979年の日本SF大会は名古屋で開かれた。略称はメイコン3である。会場は名古屋港湾会館。地元なので、合宿は参加せず、2日間自宅から会場まで通った。手元のプログラム・ブックによれば、主催は「ミュータンツ」「ヴァイキング」「ユートランド」「セカンド」の4団体。協力が「名城大マンガ・アニメSF研究会」「名工大SF研兼漫研」「淑短マンガ研究会」「KMP」「MONNSTERS」の5団体となっている。自分が知っていたか後に知ることになるのは「ミュータンツ」と「名城大」「名工大」の3団体だけで、後はどんな団体か全くわからない。「名城大マンガ・アニメSF研」には〈奇想天外〉新人賞で新井素子と同時に入選し、プロデビューしていた大和眞也(やまとまや)が当時在籍しており、彼女はメイコン3スタッフでもあった。「名工大SF研兼漫研」には既に触れたように、兼岩さんというアクティブなSFファンがいたわけだが、この頃は既に自分たちとは連絡が途絶えていたため、メイコン3と彼がどう関わっていたかは不明である。どちらの大学も単独のSF研ではなく、漫画・アニメとの合同研究会であり、これは当時のSFファンダムの雰囲気をよく表している。

 メイコン3は一つのホールで全体が進行する旧来形のSF大会であった(現在は複数の企画が同時に進行していく形が普通)。最初に映画評論家の森卓也氏の講演「SF門外感」があり、昼からは「THX1138」「サイレント・ランニング」「ダーク・スター」と映画三連続上映。それぞれ監督はルーカス、トランブル、ダン・オバノンの豪華三本立て。字幕なしフィルムであったが、幸い「THX1138」はほとんどセリフがない映画で、非常によく理解できた。「サイレント・ランニング」は大会前の5月13日にTV放映されたばかりだったし、「ダーク・スター」は字幕なしではわからないだろうと思って、観ていない。ホール外の即売会場でようやくできあがった青焼きコピー誌「グレイト・アドミラル」を売ったり、本を買ったりしていたのではないかと思う。初日はこれで終わりである。えっ? これだけ? といった肩すかし感はあったものの、なんと言っても、初めてのSF大会で、プロ作家があちこちにいるという状況は実に刺激的で、すっかり舞い上がってしまったわれわれ二人はあちこちでサインをもらいまくってご満悦であった。手元のサイン帳には、かんべむさし、横田順彌、亀和田武、吾妻ひでお、深見弾、黒丸尚、高千穂遙、夢枕獏、風見潤、小松左京、山野浩一、新井素子、山田正紀、川又千秋、山尾悠子、田中光二、栗本薫、眉村卓、矢野徹のサインが残っている。上の写真はその一部。特に山尾悠子と吾妻ひでおは自分にとっての宝物である。(続く)

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