『SFが読みたい! 2012年版』2012-02-12 14:47

 今年も出ました。これでもう13冊目になるので随分続いていることになる。これが出るとようやく昨年のSF界を振り返る気分になるね。自分が昨年の話題作をどれぐらい読んでいるか(いないか)、自分のベスト1は全体では何位だったのか、とかが初めてわかるわけである。
 最初の3冊までは、《SFマガジン》海外レビュー欄を担当していた関係で、海外編の作品ガイドも執筆しており、海外の話題作はほとんど読んでいたはずだ。レビューを降りてからは、読みたくない本まで読んできた反動もあって、新刊SFを読む量が激減し、よく読めた年でもベスト10の半分ぐらい。自分のベスト5と全体のベスト5も、昔は割合一致していたのに、最近は全くズレている。ように思っていたのだが、実際はどうなのだろう。ちょっとヒマだったので、相関図を作ってみた(笑)。

http://www.asahi-net.or.jp/~YU4H-WTNB/best10.pdf

 結果はやはり思っていたとおり。2007年までは自分の1位はほぼ全体の1位とかぶっており、悪くても3位までには入っている(2003年のパングボーン『デイヴィー』を除く)。しかし、2008年に1位にしたレム『大失敗』がベスト10圏外となったのを皮切りに、その後は自分のベスト1はほとんど上位に来なくなった。特に2010年・2011年の2年は、全体のベスト3と自分のベスト5が全くかぶらないという異常事態となっている。これは自分の好みと全体の好みとがズレてきたんだなあ、と理解して寂しく思っていたのだが、昨年に限ってはそんなことはない! 1位の『ダールグレン』こそ全体7位と振るわなかったが、2位~5位はちゃんと全体上位に入っているではないか。ということは、自分の好みと全体の好みがズレてきたのではなくて、2010年・2011年には単に自分好みの本が出ていなかったというだけのことなのか。いや、そう言えば、2010年はそもそも全体1位の本を読んでいなかったっけ。これ『ペルディード・ストリート・ステーション』だから、読んでいれば、確実に1位にしたはずだ。自分の読書量が足りなければ、当然上位に入るべき本も入らないという当然の理屈ですね。出版社のせいにしてはいけません。反省、反省。

 あとは、『プランク・ダイヴ』1位記念の山岸真インタビュウが面白い。自らのファン活動と80年代SF史を絡めて語る半自伝的な内容となっており、氏のSF観や現在の立ち位置が実によくわかる。氏と自分とは同世代であり、同じ時代を海外SFファンとして過ごした「同志」として、氏の考え方には共感するところが多数ある。これからも頑張ってください! まずはコーニイ『ハローサマー・グッドバイ』続編をぜひ!

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