国際SFシンポジウム名古屋大会終了!2013-07-26 00:13

 本日国際SFシンポジウム名古屋大会、無事終了しました。ゲストの皆さま、見に来て下さった方々、本当にどうもありがとうございました。

 まずは慶応大教授巽先生の開会宣言から。1970年の第1回から43年、当時は経済成長と呼応するテクノロジーの進歩が単純に信じられていたが、現代においてはテクノロジーが制御しきれない自然環境と人類文化との関わりを考えながらSFが書かれなければならないという大会の全体テーマを踏まえたものであった。

 続けては第1部、テーマは「SFとジェンダー」。パット・マーフィーはパワーポイントを巧みに使って、我々の脳がいかに既成概念にとらわれているかを暴き出す。ジェンダーも無論その一つであり、男の英雄ばかり描かれてきたSFであったが、本来SFとは自由な想像力によって、どのような世界も描き出せるはずである。そこにSFの可能性があるというような話であった。
 バチガルピも自分の脳が既成概念にとらわれているという話を二つの実作体験から語る。『ねじまき少女』のカニヤは元は男性キャラであったが、友人に話を読ませたら、この話には女性が必要だと言われ、後で女性に書き換えた。すると、当初はしていなかった外見描写をしたくなって困ったという話が一つ。もう一つは『シップブレイカー』のヒロイン、ニタはインド人で髪も目も黒く肌も褐色だったのだが、これを金髪碧眼の白人にしたくなって困ったという話(これはディズニーのせいだとか)。どちらも「脳は自分の見たいものしか見ない」という例であり、ここから逃れることが大事なのである。
 片桐くんからは、ミステリのトリックで脳の既成概念を揺るがすものがあるが、SFにおいてジェンダーをどう描きうるのかという質問。
 再びマーフィーに戻って、彼女が『ホビット』を読んだ時、自分の居場所はこの中にない=女性の登場人物がほとんどいないと思った。そこで、『ホビット』のスペース・オペラ・ヴァージョンである『ノービットの冒険』では主人公以外に女性をたくさん出した。強い女性を出すことを強調するのではなく、強い女性が出てくることが当たり前になるようになってほしいというようなところで、第1部終了。

 第2部のテーマは「アジアSFの可能性」。呉岩(ウー・ヤン)さんは中国SFの歴史について語り、立原さんはそれを受けて日本で紹介された中国SFについて語る。ドゥニさんは、フランスでの日本SF紹介の状況を語り、YOUCHANさんは、自分の仕事と絡めてアジアとの交流について語ってくれた。最後に若者がSFを読むことの意義について一言ずつ語ってもらい、質疑応答の上、時間を大幅に超えて終了。

 ゲストの皆さま、通訳をされた原田さん、本当に本当にありがとうございました。何よりほとんどの準備を一人でやってのけた長澤さん、本当にお疲れ様でした! 手伝ってくれた片桐くんもありがとう!

 来てくれた堀田あけみさん、中村融さん、大野典宏さん、高井信さん、啓一くん、三輪田さん、朝子さん(カメラありがとう!)、名大の小林くん(ビデオありがとう!)、山田くん、金曜会の小林さん、稲垣くん、ラドンさん、その他(名前抜けてたらごめんなさい)の皆さん、どうもどうもありがとうございました。感謝、感謝です。

 その後はレセプションで大いに語り、大いに飲み、大いに食べて盛り上がりました。その話はまた今度にでも。