私的名古屋SFファンダム史03(1977)2012-01-19 20:49

「SFが読みたい!2012年版」のブックガイド執筆のため、数日休ませてもらいました。ようやく書き終えたので再開します。

 さて、初めて入手した同人誌が紙切れ一枚でがっかりしたことは前回書いた通り。上記写真ではよくわからないと思うが、「イエローページ」という題名の月刊情報誌で、黄色い紙に横書き4ページ。「火の鳥」TV化!? とか「タチカワGペン譲ります」なんて記事が載っており、SFというより漫画情報誌という感じである。神奈川県で発行されているが、大阪の著名なSF同人誌「星群」の宣伝も載っているので、何か関係があったのかもしれない。内容はともかく、このフォーマットは、実はこの4年後後に我々が発行したSF情報誌「TORANU TあNUKI」にかなり影響を与えている。4号(1977年2月発行)から10号(1977年12月発行)までは手元にあるので(6号欠)、それなりに面白く読んではいたのだろう。何といっても、切手を貼った返信用封筒を送るだけで現物が届き、実質無料だったのが大きい。5号(1977年3月発行)がSFマガジンのバックナンバー販売特集で、60年代のものに3000円とか、とんでもない値段がついている。「今までのSALEの中では安い値がつけてあり他所ではありません」なんて書いてあるのだが、いくらなんでもそんな馬鹿な話はないだろう。無知な中学生でもこの値段が法外だということはわかったので、すごく欲しかったのだが、一冊も購入してはいない。無料で情報誌を送っておいて、古本で儲けようなんて、これって一種の悪徳商法? この2カ月後には鶴舞の古本屋でSFマガジンのバックナンバーを見つけて(300円~500円ぐらいだった)、山のように買い込むことになるのだけれど、それは3000円に比べればすごく安いという意識も働いたのかもしれない。

 この年の3月末、初めて「SFマガジン」と「奇想天外」を新刊書店で買う。1977年5月号である。特に何が載っていたわけでもないが、SFMでは、野田さんの「私をSFに狂わせた画描きたち(エド・カーティア)」、安田均の「SFスキャナー(プリースト「スペース・マシン」紹介)」などのコラムを夢中で読んだ。この後もしばらくは、小説よりもコラムを読むために購入していたようなものである。漫画は相変わらず萩尾望都をむさぼり読んでいた。ちょうど最初の作品集(赤い表紙のやつ)が出始めた頃で、毎月一冊ずつ刊行されるのを楽しみに購入していたものだ。学研から出ていた「SFファンタジア」の1・2巻、「別冊奇想天外・SF再入門大全集」もちょうどこの頃の発刊で、大いに影響を受けている。この中一の終りから中二の初めにかけて、我々の海外SF志向はすっかり固まっていた。(続く)